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うまく言えない感覚の話

2016年02月10日 by e.f.t.

先日天気のいい日、奈良の田舎にある喫茶店で、そこの窓から見える田畑の風景と稜線が、風景画か写真の様に美しく、友人とコーヒーを飲みながら長い時間ボーッと眺めていた。

ふと、景色の中の300メートルほど先に、古い煉瓦造のトンネルのようなものがある事を発見した。

そのトンネルの前には看板が見え、どうやら今は使われていないトンネルのようだった。

僕は友人を喫茶店に残し、「ちょっと見てくる」とトンネルを確認しに出掛けた。

歩いてどんどんトンネルに近づいて行く時、「あいつ(友人)見てるかな?」と思って喫茶店の窓を振り返った時、うまく言葉にならない感覚におそわれた。

それは先程からボーッと眺めていた写真のような風景の中に自分がいるという事。窓が反射して友人は影しか見えないが、じっと見るとその隣に自分がコーヒーを飲みながらこっちを見ているような錯覚。

でも流れていく思考をせき止める事なく、感覚は無意識の方へ沈んでいった。

それから思った以上に小さなトンネルにたどり着き、目的通り中を覗いた。

中は真っ暗で、下に水が溜まって、朽ちた線路の枕木のようなものが見えた。

これまたうまく言えないけど、子供の時に幼馴染のケンタちゃんと冒険した時のような、怖いようなワクワクするような不思議な感覚におそわれた。

前には看板があり、それを読むと、このトンネルは昔、通称「大仏鉄道」とか言われた鉄道が走っていた頃、機関車が通るために作られたトンネルで、煉瓦は当時珍しいイギリス積みという方法で積み上げられ、石はどこどこのなんたら石を使用。全長何メートルの鉄道であった。どうたらこうたら。と書かれていた。

腕組みをして、それを読んで、「ほーなるほど」などと思い喫茶店に戻った。

友達にあのトンネルは大仏鉄道というなんとかがなんたらで、イギリス積みの煉瓦がなんたら、、、とさっき仕入れたうんちくを述べ、ほーとかへーとか言って納得したのだった。

事件はその夜に起きた。

昼間の出来事などすっかり忘れ、ベッドに入りグーグー寝ていると、人一人くらいしか通れない暗くて狭い地下道をいろんな国の人々がゾロゾロと歩いている夢を見た。それはなんとも気持ちの悪い夢で、悪夢にうなされハッと目覚めた。

ベッドを出てキッチンに行き水を飲みながら考えていた。

あの夢はなんだったのか。。今も残ってるこのゾワゾワする不思議な感覚はなんだろう。。そして思い出した。

「トンネルや!」昼間トンネルの中を覗き込んだ時の感覚と全く同じだったのだ。

看板のペラペラな情報を読むうちに無意識の彼方に沈んでいった感覚を脳は覚えていて、睡眠中に情報の整理をしていたのだろう。

あの子供の頃に何度も経験した感覚。子供の時はその感覚を大事に持っていたはずなのに、大人になると大切な感覚と引き換えに、看板に書かれた文字を薄っぺらな知識に置き換えて、ほーとかへーとか言って納得してしまっているんだなぁ。

子供はすごいなぁ。夢で目覚めなければとどめる事なく忘れてしまうところだった。

うまく言えない感覚をもっと信じよう。と思ったのでした。

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